3分でわかるコンタクト 処方箋

歌手Nの歌には、色があまり登場しません。
登場しても、赤、黒といった原色系か、単色です。内の眼(意識や思考のイメージ)は色彩感覚を伴わない場合が多いのと一致しています。
また歌手Yは自分で「視力15が自慢。でも、回りものに弱い」と言っています。
「回りもの」というのは遊園地などの激しく回転する乗り物のことですが、回っているのにそれでも目の前の風景を真剣に見ようとする意識が強い、眼を楽にして遊ばせることのできないYの気質がよくわかります。眼に遊びがないから、眼が回りやすいのです。
デビュー曲『J』で〈回る回るよ時代は回る〉と、時代がまるで眼に見えるもののように歌っていますが、時代は言うまでもなく形がない抽象的なものです。それがNの手にかかると現実に見えるもののように描かれるところが特徴的です。
彼女には、本来見えるはずのない「心の動き」や「時代」という抽象的な世界がはっきり見えている。彼女の内の眼には明確に映っているのにちがいありません。

Nは、日々の生活でも知らず知らず外の風景より自分の意識に眼を向ける傾向の強い人ではないでしょうか。YとNの比較でもわかる、「ものの見方や発想の傾向」を私たちは必ず持っています。
その傾向が、眼から解るのです。YとN、ライブの舞台設定も象徴的です。
Yのステージは、観客の眼からも、それがなんであるか一瞬で判断できるものがほとんどです。一目瞭然でわかりやすい。
しかも、見た瞬間にセットの華やかさや巨大さに圧倒される。内の眼が想像している暇がないほど、外の眼に映る風景で観客を楽しませる設定です。
シンクロライブの舞台にも「眼の傾向」が表れている。外の眼が狭いタイプの典型で、「眼の遊び」(眼の動きの柔軟性や融通性)が少ない傾向をそのまま言い表しています。
目の前の現実を見ようとする、見たくてたまらないYと、目の前の現実をさほど重視していないNの個性がはっきり理解できます。このように、内の眼、外の眼を手がかりに人の性格や行動のパターンを分析すると、漠然と考えているよりずっとはっきり、その人たちの癖や傾向が見えてきます。
これはその典型と言っていいでしょう。対照的に、Nのステージは、観客の眼に映る舞台セットが具体的な形として見えてこない場合が多く、受け手の価値観や想像でどうにでも解釈できるものがほとんどです。
ひとり芝居の舞台ともいえる「夜会」のステージでもそれは顕著で、外の眼で見ただけでは解釈しにくい。けれど、内の眼を大いに楽しませてくれる。
Nのライブと連動して、それらが徐々にちがった趣きで観客の内の眼に訴えてくる仕掛けになっています。どちらも観客の眼を意識しているのは当然ですが、Yは観客の外の眼を、Nは観客の内の眼を意識している舞台セットと言えるかもしれません。

これが意図的なものか、それぞれがどう自覚しているかはわかりませんが、眼の傾向がこのような形でダイレクトに表れるのは面白い事実です。YとNは、いずれも自分の個性を強烈に貫いてファンを魅了しているアーティストですが、日常生活ではそうした偏りが誤解を招いたり、すれちがいを生んで自分を悩ませるケースが少なくないかもしれません。
「外の眼の強いタイプの人」に、「内の眼の強いタイプの人」が自分の価値観で話をしても、あまり興味を持ってもらえないのは想像がつきます。自分の眼のタイプを把握することで自分の癖を知り、相手のタイプを推測することで自分とのちがいや対応を考える糸口がつかめるでしょう。
眼を調べると性格や行動パターンがわかる現実には、合理的な根拠があります。眼はほんとうに鏡のように心を映し出しているのです。
その理由は、眼の構造を知れば納得がいくはずです。眼球は、上下、左右、回転、自分の思いどおりに動かせます。
これがどんな仕組みで動いているか、考えたことがあるでしょうか。眼球がくるくると自由に動くのは、手足が動かせるのと同じ理屈です。
そう、眼にも筋肉がつながっていて、筋肉が眼球を動かしているのです。眼球には6本の細い筋肉がつながっています。
上斜筋、上直筋、内直筋、下直筋、外直筋、下斜筋の6本です。これを総称して「外眼筋」と呼びます。
この外眼筋が脳の指令に従って動くのです。もちろん、意志に従って動かせる随意筋です。

筋肉ですから、使えば発達します。使わない筋肉より使う筋肉が発達するのは他の箇所と同じです。
長距離走の選手が持久力的な筋繊維を多く持ち、短距離走の選手がスプリント系の筋繊維を多く持つ。あるいは、いつも右肩を下げて立つ癖のある人が、そういうバランスの筋肉のつき方になる。
それらと同じように、眼の使い方の癖も脳を通じて眼の筋肉に記憶され、眼の筋肉にその傾向が表れるのです。眼に性格が表れるのはなぜか?これほどまでに、性格や行動の傾向が眼に表れるのはなぜでしょう。
単なる偶然の一致でしようか。総称し視力がすべてではない、という意味はここにもあります。
遠くのものがどれだけよく見えるかを調べ数字で表すのもひとつの基準です。が、6本の眼の筋肉それぞれがどのような筋力を持っているか、バランスはどうかなど、眼の運動機能をチェックすることのほうがもっと多くを教えてくれます。
自分の眼を改善し、ものの見方をスムーズにするヒントはこういった眼の運動機能をチェックしなければ得られません。「外の眼」の傾向が筋肉に表れるのはわかったとして、意識の中にある「内の眼」の傾向は何をバロメーターにすればわかるのでしょう。
内の眼は、実際に眼を動かすわけではないから、筋力とは関係ないだろう?そう考えるのが自然です。ところが、内の眼の傾向も筋肉から類推できるのです。

簡単に説明すると、内の眼は、いわば自分の中の世界です。他人に侵入されたくない自分の世界は、パーソナルエリア、つまり自分の手の届く範囲なのです。
そのエリアで作業する眼の使い方や癖が、ほとんど内の眼と同じですから、近くを見るときの筋肉の傾向を調べることで、内の眼の傾向もわかるというわけです。このように、内の眼、外の眼の傾向を手がかりに性格を分析すると、人間を理解しやすくなります。
自分自身を客観的に知ると同時に、周りの人間をこれで理解し、自分との関係をスムーズに運べるよう活用すればなお効果的です。眼の傾向で自分と相手の特性を把握すると、単に「好き嫌い」でしか表現できなかった第3者と自分の価値観の違いやコミュニケーションの図式が、客観的に見えて楽になります。

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